TOEICに初めて取り組む方や会社でTOEICを受験する方の中には、目安となる得点や平均点が気になっている方も多いのではないでしょうか。
今回は、TOEICのスコアごとのレベル感と英語の能力について、TOEICのスコアと他の試験の点数の目安もご紹介します。
初めて受験される方は、スコアの目標や他の試験の難易度の参考にしていただければと思います。
では早速、TOEICスコア別の英語力について見ていきましょう。
TOEICスコア帯別の特徴
今回は、400点台~990点(満点)の8つのレベルに分けて、英語力の目安を解説していきます。
400点未満の人の特徴
TOEIC400点未満の方は、まだまだ基礎的な英語力が足りず、これから伸ばす余地が多い方と言えます。
また、はじめてTOEICを受けて問題に慣れていない方や大量の問題に戸惑ってしまった方の中には400点に満たなかった方もいるでしょう。
コツコツと基本を身に着けていくことで比較的点数が上がりやすく、成長を感じやすいレベルでもあります。
ここから、能力別にできることを解説していきます。
読み書き
TOEIC400点未満の方は、覚えている単語の量も少なく、文章をスラスラと読むのは難しいでしょう。簡単な文でも読むのに時間がかかったり、辞書を引きながら読むことが多いかもしれません。
また、簡単な文を作ることはできますが、たくさんの情報を盛り込むことや正しい文法を用いることは難しいでしょう。
英会話
あいさつ程度の英会話はできますが、相手の言ったことを聞き取るのに苦労するかもしれません。また、自分が伝えたいことでもなかなか英語にできず、もどかしく感じることもあるでしょう。
就職や受験での評価
TOEIC400点以下で評価される企業や大学はほぼないと考えて良いでしょう。履歴書に記載しても注目はしてもらえず、かえって「英語ができないひと」と烙印を押されてしまうおそれもあるため、履歴書に積極的に書くことはお勧めしません。
また、大学入試でも、高校レベルの英語が理解できていれば400点は容易に取得できるレベルであるため、大学受験でも生かすことは難しいです。
他の試験での目安
英検では5級程度に当たると言われています。あいさつや簡単な日常会話であればできるレベルです。
400点~495点の人の特徴
TOEIC400点以上の方は、基本的な英語力がつき始めた方ですが、まだまだ鍛えるべき部分は多く、TOEIC対策も必要な方が多いです。詳細なスキルについて見ていきましょう。
読み書き
辞書を頼りながら、一文一文の理解は進むようになったレベルです。しかし、2文以上の文章になると文同士のつながりが分からなかったり、単語の意味が分からず躓くことも多いでしょう。
英会話
簡単な質問に答えたり、短い文章を話すことはできるレベルですが、まだまだスキルが付いているとは言いがたく、単語の使い方や言い回しには不安が残るでしょう。聞き取りも、簡単な英語であれば意味を理解しながら聞けますが、少しでも分からない単語が入っていたり、早いスピードで話されると理解するのが難しくなります。
就職や受験での評価
TOEIC400点台も、まだまだ資格として書けるレベルではありません。まずはTOEIC平均点である600点程度を目指して勉強を重ねましょう。
他の試験での目安
TOEIC400点台は、英検で言うと4級程度に当たると言われています。また、TOEFLだとほとんどスコアが出ないレベル、IELTSでも2.0程度とされています。
500点~595点の人の特徴
TOEIC500点以上の方は、基本的な英語力がある程度身についてきた方と言えます。ただし、まだまだ文法事項に抜け漏れがあったり、リスニングの理解度が足りてなかったりするレベルです。引き続き上を目指して努力が必要になります。
具体的には、下記のような能力があると言えます。
読み書き
日常会話レベルの文章であれば読むことができます。300~400字程度のやや長めの文章についても、大枠のイメージをつかみながら読解することはできるでしょう。しかし、文章の細部をしっかりと読み取ることはまだ難しいでしょう。
また、筆記では簡単な情報を記述したり、自分の意見を理由とともに述べることができるようになるレベルです。
英会話
日常会話には慣れ、ビジネスシーンなどでも簡単な会話はできる状態です。
しかし、相手の話を詳細に聞き取ったり、その場で的確な返事をすることは難しいかもしれません。
就職や受験での評価
TOEIC500点台は平均点に近く、あまりインパクトはない成績です。多くの企業では600点以上が評価される傾向にあるため、履歴書に書いたとしても、評価を上げるのにはあまり有効ではないでしょう。
他の試験での目安
TOEIC500点は、英検3級程度、TOEFLでは30点程度、IELTSでは3.0程度と言われています。
600点~695点の人の特徴
TOEIC600点以上の方は、基本的な英語力はあると言えますが、TOEIC独特の単語や問題形式に慣れていない方も多いでしょう。
また、難易度の高い文法事項やイディオムを知らなかったり、長文を読み込む力、リスニングで聞いた音を認識する力などはまだまだ伸ばせる余地が残っています。
TOEICの問題形式に慣れていない方は、問題集などを通して練習を重ねることで、より高得点を狙えるようになります。
具体的な能力については、下記のような特徴が挙げられます。
読み書き
日常会話レベルの文章であれば読むことができ、やや複雑な文章についても前後の文脈から読み解くことができます。しかし、語彙が少なかったり、細部を見落とすことがあるので100%内容理解できているかはまだ怪しいレベルです。
英会話
日常会話では、多くの内容を理解し、自分の伝えたいことも伝えることができるレベルです。
しかし、ビジネスシーンではまだ聞き取れない単語や、伝えきれない表現もあるかもしれません。
就職や受験での評価
後ほど詳しく解説しますが、600点は日本人の平均的なレベルです。
正式に公開されているデータによると、学生の平均点が500点台後半、社会人の平均点が600点台前半となっているため、まさに平均的な得点が600点程度と言えます。
就職や受験で600点を記載しても良いとは思いますが、あまり大きなアピールポイントにはならないでしょう。
逆に他の方が700点や800点を持っていた場合に相対的に能力が低く見られてしまうこともありますので、受験・応募する大学や企業によってTOEIC点数を記載するかを見極めましょう。
他の試験での目安
TOEIC600点は、英検準2級程度、TOEFLでは45点程度、IELTSでは4.0程度と言われています。
700点~795点の人の特徴
TOEIC700点以上の方は、基本的な英語力は十分あり、TOEICの対策もきちんと積み上げている方が多いです。
しかし、まだ細部の聞き逃しがあったり、長文読解のスピード、情報を読み取る精度に改善の余地があります。
問題集を繰り返し解くなどTOEIC専用の対策も行いつつ、英語のニュースを聞いたり、自分の興味のある分野の英語雑誌を読んでみるなど日常生活から英語に触れる機会を増やしていきましょう。
読み書き
TOEIC700点~795点の方は、日常で触れる英語については9割方理解できるでしょう。時々知らない単語や文法にぶつかることもありますが、自分で調べながら意味を取っていく能力は十分あります。
ライティングについても、自分の伝えたい内容をシンプルな英文で書くことができるでしょう。しかし、文章同士のつながりや全体の論理性、接続詞や関係詞の使い方など上級者になるためにはまだまだ練習が必要です。
英会話
TOEIC700点以上の方は、日常会話レベルの英会話は問題なくこなせるでしょう。ただし、自分の意見を詳しく説明したり、相手に応じて適切な単語を選んだりすることはやや難しいでしょう。
就職や受験での評価
TOEIC700点は、就職で一定のアピールになることもあるでしょう。受験データによると、全体の10%程度が700点を獲得しており、全体で見るとかなり英語ができると言えます。基本的な英会話や読み書き能力はあると判断され、海外とやり取りのある部署に抜擢される可能性もあります。
他の試験での目安
TOEIC700点は、英検2級程度、TOEFLでは60点程度、IELTSでは5.0程度と言われています。
800点~895点の人の特徴
TOEIC800点以上の方は、高いレベルの英語力を持っており、TOEICの解き方にも熟達している方が多いです。
ただし、800点レベルの方でも時間内にすべての問題を解き終わらなかったり、細かい文法問題などでミスをしてしまう方は意外と多いです。
読み書き
読み書きでは、日常生活で触れる程度の英文であれば問題なく読みこなせ、ビジネスで使う文章や多少アカデミックな文章であっても理解できる程度の能力です。
また、必要最低限のことを文章で伝えることもできるでしょう。ただし、初めて出会う状況や込み入った内容を伝えたい場合は言葉に詰まることもあるでしょう。
英会話
TOEIC800点以上の方は英会話でも基礎的な知識を持っている方が多く、ビジネス会話であれば最低限自分の思ったことを表現できる方が多いです。また、突発的な事態やイレギュラーな事象に対しても自分の語彙の範囲で話すことができるでしょう。
ただし、論理的な伝え方や込み入った話題ではコミュニケーションが難しいこともあるでしょう。
就職や受験での評価
TOEIC 800点レベルは、多くの大学や企業では好感をもたれることが多いでしょう。最新の受験データによると、800点程度の点数を取れる人は全体の7%程度なので、平均よりもかなり英語ができるレベルです。
多くの企業ではTOEIC730点を英語力の目安としていることもあり、800点は会社でも自慢できる点数と言えます。
他の試験での目安
TOEIC800点は、英検準1級程度、TOEFLでは80点程度、IELTSでは6.0程度と言われています。
900点以上の人の特徴
TOEIC900点以上の方は、高い英語力を持ち、TOEIC対策もしっかり行えている方が多いです。
また、TOEICの勉強に限らず、日常的に様々な場面で英語に触れている方が多いでしょう。900点以上の方の特長は、下記の通りです。
読み書き
TOEIC900点の実力があれば、日常生活やビジネス、アカデミックな分野で出てくる英語のほとんどは難なく読みこなせるでしょう。ただし、高度な学術的文章については辞書で意味を調べたり、専門分野の知識を入れたりしながら理解していくことになるでしょう。
英語でウェブサイトや記事を読んでも、苦手意識なく読み進め、内容を把握することができますし、ニュースや外国のYoutubeを見ても理解できるでしょう。
英会話
ビジネス英語であれば、様々な場面に対応できる英会話力があると言えます。
TOEICに出てくるような出張やカンファレンス、予約を取るようなシチュエーションでは、問題なく自分の話したいことを伝え、タスクをこなすことができるでしょう。
ただし、専門分野について深い議論をしたり、くだけた会話などTOEICで扱われない分野の英会話に関してはスムーズにできないこともあります。
就職や受験での評価
TOEIC900点は、就職や受験でも高い評価を得られる可能性が高いです。直近のTOEICのスコア分布を見ても、900点以上を取得できているのは全体のおよそ5%程度なので、このレベルになると他の受験生や候補者に比べて英語がかなりできるという印象を持たれることも多いでしょう。
ただし、商社や外資系企業など、普段から英語を使うことが当たり前の会社では、900点ホルダーもたくさんいる可能性があります。志望校や志望する企業によってアピールポイントを考えていきましょう。
他の試験での目安
英検では1級、TOEFLでは100点、IELTSでは7.0程度の実力と言われています。
スピーキング・ライティングはあくまでも目安と考えてください。
990点の人の特徴
TOEIC990点の方は、TOEICでは測ることのできない高い英語力を持っていると言えます。
特に、何度も990点を取得している方は英語力・TOEIC対策ともに完璧に近い方が多く、胸を張って英語が得意だと言えるでしょう。
このレベルになると、普段から英語を使って情報の収集・発信をしている方が多く、日本語と同じ感覚で英語の読み書きをしている方もいらっしゃいます。
読み書き
TOEIC990点取得している方は、TOEICで扱われるビジネス系の英語に限らず、アカデミックな分野でも多くの英文を読むことができる英語力を持っています。
また、TOEICではライティングの能力を測ることはできませんが、基本的な読み書きや自分の意見を述べる文章については書くことができるでしょう。
英会話
TOEIC990点の方であれば、ビジネスレベルの英会話は苦手意識なくこなせることが多いでしょう。
ただし、TOEIC L&Rテストではスピーキングとライティング能力は測ることができないため、TOEIC満点だからと言ってスピーキングも完璧にできる、というわけではありません。
就職や受験での評価
TOEIC990点を取得していれば、就職や受験でも「英語がとてもできる」と評価されるでしょう。帰国子女やネイティブであっても990点を取得するのは難しく、しっかりと英語の力があるうえでTOEIC対策ができていないと990点は取れません。
英語の力に加えて、満点を取るまで努力する姿勢というのも受験や就職においてはアピールポイントになるでしょう。
英語ができる人という印象を持たれるので、即戦力として海外との会議に同行したり、英語で業務を行うことも求められるかもしれません。
他の試験での目安
英検では1級程度と言われています。また、TOEFLでは100点程度、IELTSでは7.0程度と言われていますが、やはりライティングとスピーキングについてはTOEICだけではスコアを測ることはできないため、一概に点数換算ができるわけではありません。
TOEICの平均点とスコア分布
TOEICを初めて受ける方は、平均点が気になる方もいるでしょう。TOEICの平均点を知り、自分がどの位置にいるのかを把握して英語力を高めていきましょう。
TOEICの平均点
TOEICの運営を行っているIIBCが集計した2019年の受験者データによると、日本のTOEICの平均得点が523点となっています。TOEIC600点を保有していれば、日本の中では英語ができる部類に入るといえます。
また、TOEIC受験者データ(2020年7月版)によると、公開テストでの大学生の平均点は574点となっていますが、年次が上がるにつれて点数が伸びている傾向があります。また、大学院では平均点が618点となっており、年齢が上がるとともに平均点も上がってきます。
TOEICのスコア分布
TOEICの運営を行っているIIBCが集計したTOEIC受験者データ(2020年7月版)によると、公開テスト受験者では545~595点を獲得している方が最も多く、全体の10%にあたる86,560人がこの点数帯に属します。
「英語ができる人」の目安にされることが多い800点程度硫黄(データでは795点以上)の方を見てみると、全体の中でおよそ13%にあたる113,002人が属します。800点が全体の上位10%に入るための壁となっていることが分かります。
TOEICのスコアを上げる勉強法とは
TOEICのスコアを上げる方法は大きく次の二つです。
①根本となる英語力を向上させる
②TOEICの試験形式や問題傾向を知り、解き方を対策する
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
英語力を向上させる
TOEICのみならず英語試験全般に役立つことですが、単語のインプットや文法の習得、リスニングの練習など英語の基礎力を向上させる練習をすることでTOEICの点数アップに繋がります。
一瞬でTOEIC900点を取るような魔法のような方法はありませんが、毎日コツコツと勉強を続けていくことで英語力が底上げされ、その結果としてTOEICの点数が上昇するでしょう。
TOEICは英語によるコミュニケーション能力を測る試験であり、L&Rでは主にリスニングとリーディングの力が試されます。リスニングではディクテーションやシャドーイング、リーディングではパラグラフリーディングを取り入れてみるなどすると良いでしょう。
TOEICの試験形式や問題傾向を知り、解き方を対策する
これはTOEICのみに役立つ対策ですが、TOEIC独特の問題形式や出題傾向を把握することで高得点を取ることも期待できます。特に、基礎的な英語力がついている700点以上の方については、TOEIC独自の問題形式に戸惑い高得点を逃している場合がありますので、TOEICの問題形式に慣れることは高得点を取るうえでのポイントとなります。
まずは、TOEICの運営元であるIIBCが出している公式問題集を解いてみて、TOEIC独自の問題形式に慣れていくと良いでしょう。
まとめ
TOEICのスコアと英語力の関係についてご紹介してきました。まだTOEICを受けたことがない方は、目標とする点数を決め、練習をして試験に臨みましょう。
公式問題集を解いて感覚をつかんでから受験をするのがおすすめです。
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